2023年バスケットボール男子ワールドカップが日本、フィリピン、インドネシアの3カ国共催で開幕中ですが、
8月25日に沖縄アリーナで行われた日本代表の1次リーグ初戦となった「ドイツ戦」で、
チケットが完売にも関わらず空席が目立ったことが問題視されています。
試合後の会見ではホーバス監督が、翌日にSNSで渡辺雄太選手もこの問題に言及して憤りを表明しています。
ネット上でも憤りの声など様々な意見が投稿されていますが、
その中には「本州在住のスポンサーが沖縄まで行かなかった」「FIBAとJBAの力関係」などの声も。
- バスケットボールワールドカップがチケット完売にも関わらず空席が目立ったのはなぜか?
上記について、理由や原因を調査・考察してまとめていきたいと思います。
バスケットボールW杯に空席なぜ?渡辺雄太選手のSNS投稿
まずは、チケット問題について憤りを表している渡辺雄太選手のSNS投稿を見てみましょう。
https://t.co/dBE9b1YoFB pic.twitter.com/1PsWBN0sF6
— Yuta Watanabe 渡邊 雄太 (@wacchi1013) August 26, 2023
昨日の試合チケットは完売で、チケット欲しくても手に入らなかったって人たくさんいるって聞いてるのに、ベンチ前の席ガラガラだったの意味がわからなすぎる 大人の事情らしいけど、来ない人にチケット配るなら、ほんとに来たい人に売ってあげるべきでしょ
X(旧twitter)
渡辺雄太選手が指摘している通り、日本代表戦のチケットは全て完売。
にもかかわらず、ベンチ裏の絶好のスタンド席がブロックごとゴッソリ空席になっていますね。これはヒドイ。
パッと見て「バスケ人気なさすぎ」と思われても仕方がない光景で、開催国として、また行きたかったのにチケットが取れなかったファンとしても、疑問と憤りを感じるのは当然。
何にせよ、こんなこと選手に言わせたらいけないですよね。
▼日本代表の初戦を観に行った方のSNS投稿。
昨日のFIBA 日本対ドイツ。最上階から撮った写真。試合開始前のものだけど、右側が試合開始後もほぼ空席でした。 pic.twitter.com/qdXaNUnhzw
— YS (@dodonpa_103) August 26, 2023
これを見ると、日本側サイド半分のコートを横から眺められるスタンド良席がガラ空きですね。
試合開始までには多少席が埋まったということは分かりますが、それでも満員には程遠い。
試合終了時点では、現場の運営担当も理由を把握できておらず、国際バスケットボール連盟(FIBA)に確認中とのこと。
開催国の初戦とは思えない状況に、世界のメディアからも問い合わせが殺到しているというので、悪い意味で注目されてしまっていますね。
バスケットボールW杯に空席なぜ?スポンサーが沖縄まで来なかった説
一番に思いつくのは、
「スポンサー枠としてチケットが配布されたが、沖縄まで観戦しに来る人が少なかった」
という理由。
内地のスポンサーにたくさん配ったけど渡航費宿泊費が嵩むから沖縄に行けなかった説が濃厚かな…。高くても観に行きたいファンが沢山いたはずなのに日本戦は早めに売り切れてたしとても残念。
— Makoto (@MKT594) August 26, 2023
【バスケW杯】ホーバス監督が空席目立つ会場に不満顔「満席じゃない。なんで?」https://t.co/JE61YUahYe
Yahooコメント
多分仕組みとして空席が増えてしまうんだろうな。東京在住のスポンサー筋が押さえてそのまま来なかったのか、空路はるばる沖縄までは流石に来られなかったのか、飛行機チケット&宿泊施設の手当てが付かなければそりゃ行けないよ!なんとか仕組みを変えないと!行きたかったけどチケットを買えなかったファンも結構居たと思うよ。
確かにあり得そうですね。
その中でも、もう一歩踏み込んだ後述の説が一番納得感がありました。
バスケットボールW杯に空席なぜ?FIBAがチケットを独占&JBAの力関係が原因説
「開催関係者側がチケットを独占していた」という状況は先述した説と一緒ですが、
こちらではもう一歩踏み込んで、
「FIBA(国際バスケットボール連盟)が独占していた」
「FIBAとJBA(日本のバスケットボール協会の関係性の力関係が原因」
を指摘している声があり、個人的にこちらがしっくり来たので詳しく解説してみます。
「FIBAのチケット独占とJBAとの力関係」
個人的に一番しっくり来て納得できた原因は、スポーツライターの大島和人さんの下記X(Twitter)投稿内容でした。
沖縄アリーナの空席、FIBAが美味しい席を抑えて、VIPやスポンサー向けに使う前提があって、その分を「使い切れないのに抱えていた」「日本側に戻さなかった」構造だと思う。ただの完売でなく全試合を「ガチ満員」にしたラグビーW杯日本大会のワールドラグビーと組織委、実はスゴかった。
— 大島 和人 (@augustoparty) August 26, 2023
森さん個人とか、政治家がどうという話よりも、バスケの日本協会はまだFIBAの“保護観察下”ですし、対等にものを言える関係性ではないので。 https://t.co/ap1mVkofbL
— 大島 和人 (@augustoparty) August 26, 2023
【大島和人】
1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。
出典:sports.navi
- 試合ではFIBAが美味しい席を抑えて、VIPやスポンサー向けに使う前提がある
- 押さえた良席をFIBAが「使い切れないのに抱えていた」「日本側に戻さなかった」ことが原因か
- JBAはFIBAのいわば“保護観察下”にあり、まだ対等な立場ではない
という指摘でした。
加えて「2019年のラグビーW杯日本大会のチケット運営の素晴らしさ」を伝えています。
『CALCIO2002』や『バスケット・カウント』の元編集長である鈴木健一郎さんも同意見のようです。
渡邊雄太選手までもが言及してしまった沖縄アリーナ空席問題。スポンサーがチケットもらっても行かない説があるけど、FIBAのお偉方が席だけ確保してマニラを選んだんだろうなー。しかし誰にでも失敗はあるわけで、改善すればいいのです。明日はその席、ちゃんと見たい人に行き渡るといいなー(威圧)。
— Keniciro Suzuki / 鈴木健一郎 (@KeniciroS) August 26, 2023
バスケットボール界に詳しく裏側を良く知っている方々は、同じ推測のようですね。
「FIBAとJBAの関係性」については後ほど記載します。
「FIBAがチケットを独占&JBAの力関係が原因説」に賛同の声
この説に賛同の声も多いです。
その一部を紹介しますが、上記で絶賛されていた「2019年ラグビーワールドカップ」の件で、
「直前に関係者席の解放で買えた」という多数の声や、
「その前大会で失敗したことを教訓に対応した結果だ」という意見もあり、
国際大会のチケット販売には、開催側の努力が不可欠と言う事が読み取れます。
空席問題、自分もこれじゃないかなぁと思う。
— koishi (@koishiNBA) August 26, 2023
FIBAが独占的に管理してて全然日本側が手出せなかったんじゃないかと。
チケットの売り方も全く日本的じゃなかったし。ちゃんと買えてるかどうかもわからん状態で何ヶ月も放置とか、不安しかなかったよ。 https://t.co/5HE49koaF8
ラグビーは15年W杯直後にトップリーグがやらかしてるから19年W杯の時は頑張ったんじゃないかなと思ってる https://t.co/RzONVZt6Tj
— タカラビッツ (@yumenoniwa335) August 26, 2023
RWCの時はワールドラグビーがチケ販売してたけど、一度完売になっても試合直前まで公式リセールが稼働してた
— さくらこ (@Sakura139Nee) August 26, 2023
FIBAはチケの種類で発売日が違ったし、キャンセルやリセールはできなかった
🏉は1試合最大8万人くらい、🏀は沖縄は最大1万人
デジチケ有ったし満席にできたはずよね
今後よろしく! https://t.co/n3buZYzQu3
バスケットボールW杯に空席なぜ?チケット販売の不満も多数
先述した意見の中にも「FIBAのチケット販売に対する不満」が多々ありましたが、
今回の2023年バスケットボールワールドカップのFIBA側チケットサイトは、エラーや販売延期、発送延期などで振り回された方も多いようです。
それなのに「空席ゴッソリ」になっていた大会当日の様子に不満が爆発していました。
ま〜〜〜じでそれ‼️‼️‼️‼️‼️FIBAのチケットサイトで日本戦買おうとしたらエラーで何度も販売延期にしてたのも腹立ってたのに、空席がちらほらあって怒り。会場を埋めろ……ッ、!座らねぇなら出してくれ!
— 沃利 (@Wally_smym) August 26, 2023
今回のバスケットワールドカップの、特にCAT2 2days チケット以降を実際に買おうとした人には同意してもらえると思うんですが…
— おーくに (@0hkun1) August 26, 2023
あれだけ散々何度も販売延期、発送延期など振り回された経験から想像してしまうのは、今回の空席も、FIBAに大きな問題があるんだろうなぁと… https://t.co/6IyU0aYVeW
今回のワールドカップ空席問題はチケットが「売れなかった」のではない。現に欲しくても購入システムがクソでまともにアクセスすら出来なかった人も多い。そして管理できてるなら空席は単日デジタルチケットでいくらでも再販売できた。協会は、FIBAのチケット担当は何してた? #FIBAWC2023
— ビッグフェイスW杯おじさん (@hapi_bigface) August 26, 2023
バスケットボールW杯に空席なぜ?過去にも同様の空席問題が
今回だけでなく、2021年の大会でも同様(今回よりもヒドイ!?)状況で空席が発生した事もありました。
沖縄アリーナ、見よ!この空席祭り!
— いろどり豊 (@KK0TrEXg0RcXgOe) July 7, 2021
信じられるか!?これファンクラブ先行でチケット1人1枚しか買えなかったんだぞ。最初の時点で並びで取れなかった
完全に運営のミス。そもそも緊急事態宣言中だから売る気なかったのか??#沖縄アリーナ#渡邊雄太#八村塁#bリーグ#馬場雄大#バスケ日本代表 pic.twitter.com/AaV02TSVFi
なぜ日本男子バスケットボールにこんなに不手際が目立つのか。
それは、FIBAとJBAの関係性があるのかもしれません。
バスケットボールW杯に空席なぜ?FIBAとJBAの関係性
先程「FIBAとJBAは対等ではない」「いわばJBAはFIBAの保護監察下にある」という意見がありましたが、どういうことなのでしょうか。
これまでのFIBAとJBAの関係性を、簡単に時系列にまとめてみます。
【簡単な経緯】
- FIBAからの要請
以前よりFIBAは日本バスケットボール協会(JBA)に対し、NBL(企業チームとアマチュア混在)とbjリーグ(完全プロ)の2つの男子バスケットボールトップリーグの統合を要請し始める。
※FIBA側からの要請理由
競技の普及振興、代表をはじめとする競技力強化を進めるにはトップリーグを頂点とし、その下にレベルや年代別の階層があって底辺が広いピラミッド型のクラブ・選手層が構成されているのが望ましいため。 - 統合の進展なし
2つのリーグの統合は進展せず、組織統治の問題も浮き彫りになる。 - 最終通告
2014年5月、FIBAはJBAに対し、「10月末までに統合の進展がなければ資格停止処分を科す」という最終通告を行う。 - 制裁が下される
状況が改善されなかったためFIBAは制裁を下すことを決定し、JBAに無期限の資格停止(国際試合出場停止)を通告する。 - 新体制発足
2015年4月、全理事・評議員が辞任した後、同年5月に川淵三郎を会長とする新体制が発足。 - 資格停止処分解除
2015年8月9日、FIBAが日本の資格停止処分解除を決定。
まだ組織として「対等にモノを言える立場ではない」ということは、このような経緯があってのことだと推察します。
資格停止処分解除から7年程。なかなか力関係は変えられないものなんでしょうね。
▼公式グッズのマスコット、可愛いけどめっちゃ既視感
▼公式グッズ・日本沖縄バージョン
参考:日本バスケットボール協会 – Wikipedia
参考:DIAMOND onlone
一方マニラ会場は超満員
ちなみに、大会初日が行われたフィリピン会場の「フィリピン・アリーナ」では3万8115人を動員。
ワールドカップの観客動員数で歴代最多を記録したとのこと。
Making 𝐇𝐈𝐒𝐓𝐎𝐑𝐘 in Manila 🤩
— FIBA Basketball World Cup 2023 🏆 (@FIBAWC) August 25, 2023
3️⃣8️⃣,1️⃣1️⃣5️⃣ fans packed Philippine Arena, setting a new FIBA Basketball World Cup record as the 2023 edition started with PUSO and passion!#FIBAWC x #WinForAll pic.twitter.com/PCoE67plIP
この点からも「FIBAのお偉方が席だけ確保してマニラを選んだ」という鈴木健一郎さんの意見も説得力がありますね。
【追記】バスケットボールW杯に空席なぜ?→FIBA声明「複数の法人により購入された座席」
続報が入り、FIBA側からの声明が発表されました。
国際バスケットボール連盟(FIBA)は26日、大会エグゼクティブディレクターのデービッド・クロッカー氏の声明として「該当席は複数の法人により購入された座席で、理由は不明ですが昨日開催された試合に来場されませんでした。現在この件について調査を行っており、以降の試合において同様事案がなきよう、最善を尽くして参ります」と発表した。
また、日本バスケットボール協会と組織委員会は連名で「選手たちが満員の観客の前でプレーできる環境を実現し、バスケットボールの素晴らしさを全ての方々にお伝えするべく関係者一同努めてまいりましたが、結果としてそれをかなえることができず、大変遺憾に思います」と陳謝した。
出典:Yahooニュース
2023年8月27日の日本代表の第2試合フィンランド戦もチケットは完売。
第1試合と同じ失敗を繰り返さないように開催側にはしっかり調査と再発防止をお願いしたいですね。
実券率が何%くらいか分からないけれど、FIBAが「余らせているチケット」がドイツ戦はおそらく千何百枚あったわけですよね。それを中1日で引き取って、必要な人に(可能なら有料で)行き渡るようにする……というオペレーションができたら、プロジェクトXレベルの偉業になる。実現を願いたい。
— 大島 和人 (@augustoparty) August 26, 2023
【追記】バスケットボールW杯に空席なぜ?→FIBA公式サイトで予告なしにチケット追加販売!
8月27日0時に、公式サイトでチケットが追加販売されてました!
迅速に追加販売されたのは喜ばしいことですが、しかし全くのアナウンスなし。
この辺り、やっぱりFIBAとJBAの組織連携が取れてないのかなと勘ぐってしまいますね。
8月27日11時11分、試しに【8月27日 第2試合 21:10 – 日本 vs フィンランド】のチケット購入ボタンを押してみたところ、7分待ち
1時半から2時半まで待ってやっと入れた🥹のにまさかの買えるの無いぃぃ〜〜( ›_‹ )くそぅ🥲
— Erika⁑ (@oryo32430xoxo_a) August 26, 2023
でもきっとフィンランド戦は満席👍🏼と思うと、今まで通りPV会場でもぜんっぜん応援できる♡‼️🌺🇯🇵🏀❤️🔥❤️🔥
追加販売してくれて本当良かった😤😤@FIBAWC と @JAPANBASKETBALL は考えてほしいわ🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤬 pic.twitter.com/Df3F4U3pgr
夜中の2時にやっと繋がった方は、もう買えなかったようです。
無事に購入できた方々、応援よろしくお願いいたします!
【追記】バスケットボールW杯に空席なぜ?→FIBA声明
その後、FIBA27日に声明を発表して、
- チケットを保有する複数の法人と協議
- 法人は、本日以降使用しないチケットは返却し、一般販売することに同意
- チケットは公式チケットページを通じて随時販売(入手できるチケット枚数、座席は未定)
と説明しました。
FIBAが27日、声明を発表した。「チケットを保有する複数の法人と協議した結果、本日以降使用しないチケットは返却し、一般販売することに同意をいただきました。入手できるチケットの枚数、座席は未定です。チケットは公式チケットページを通じて、随時販売されます」と説明した。
デイリースポーツ
販売開始と声明とに時差はありましたが、しっかりと広報がありました。
▼27日のフィンランド戦はほぼ満席だったとのこと。良かった!
日本代表、フィンランド戦まであと3分。
— ダンクシュート編集部 (@dunkshoot) August 27, 2023
初戦で空席だったエリアも今日はお客さんが入ってほぼ満席状態。渡邊選手、ホーバスHCらの発信のおかげですね。#AkatsukiJapan pic.twitter.com/r4M7GYsF3k
試合結果は、日本98、フィンランド88
4Qに35得点を奪い大逆転という歴史的勝利を掴み取りました!
空席問題を提起した渡邊雄太選手も、Xで感謝の投稿をしています。
昨日の雰囲気最高でした🙏 急遽チケット買ってきてくださって、席埋めてくれた方々に本当に感謝です。もちろんもともとチケット持ってた方や、ドイツ戦空席が目立った中でも一生懸命応援してくれてた方々みなさんもです。
— Yuta Watanabe 渡邊 雄太 (@wacchi1013) August 28, 2023
次戦もお願いします🙏
この件をきっかけに、日本男子バスケットボールを取り巻く環境が、より良いものになっていくと良いですね。
NICE SHOT📸ˎˊ˗#バスケットボール ワールドカップフィンランド戦より
— TEAM JAPAN (@TeamJapan) August 29, 2023
歴史的勝利の瞬間を抱き合って喜ぶ選手たち!#FIBAWC #TEAMJAPAN #がんばれニッポン pic.twitter.com/waqLCKLmfB
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