【画像】品川区クレーン車(掘削機)横転はなぜ?原因はアウトリガー?現場写真から理由を考察

品川クレーン車横転 

2023年5月16日午前10時前、東京・品川区の有料老人ホームの建設現場でクレーン車が横転する事故が発生しました。

トラックとワゴン車計3台の上に倒れてしまい1人が亡くなり、男性1人が重傷を負っています。

街を歩いていても工事現場で良く見る掘削機ですか、横転した原因はなんだったのでしょうか。

現場写真から「アウトリガーが出ていない」という声も。

事故原因を考察してみました。

目次

【東京品川区】クレーン車(掘削機)横転はなぜ?

現場写真を検証する

早速、現場写真を見てみましょう。

出典:毎日新聞

運悪く、倒れた側が車が止まっている方向だったため、

長く伸びたブームと呼ばれる伸縮するアーム部分が車3台を押しつぶしてしまっています。

この建築機械は「杭打ち機」だと思われ、

現場写真左側に見える「H型」の杭を地中深くに杭を打ち込むために使用していたと考えられます。

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横転の原因は「アウトリガーを出していなかった」から?

実際に杭打ち機を使って杭を打つ際には「アウトリガー」と呼ばれる固定具等を使って、地面に杭打ち機を固定します。

▼赤で囲った部分がアウトリガー

出典:ジェコス株式会社

アウトリガーには「H型」と「X型」があるようですが、

どちらにしても伸ばした状態だと上記画像のように運転席下からアウトリガーがしっかりと確認できます。

現場写真では、横転した杭打機の運転席下にはアウトリガーが見当たりません。

このことから、

アウトリガーを伸ばして杭打ち機と地面を固定する前に、伸縮するブームと呼ばれるアーム部分を伸ばしてしまったことが、

横転の原因と考えます。

記事には20tクレーン車と記載されているので、

伸縮するリーダーを伸ばすと何十メートルにもなるため、

アウトリガーを伸ばして地面と固定していないと、杭打ち機は簡単にバランスを崩します。

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アウトリガーの張り出しが短かった・途中で移動するために引っ込めた可能性も

別の角度からの現場画像を見てみると、

アウトリガーが張り出してはいるものの、その長さが非常に短いことが分かります。

アウトリガーで杭打ち機を固定しても、張り出し不足や地面が柔らかい場合にも、横転のリスクがあります。

様々なリスクを考慮して、

「アウトリガーを確実に設置して地面と固定する」という作業は、

このような建設機械を操作する上で、絶対に必要な手順として取り込まれています。

または、アウトリガーの設置はしていたものの、

解除してブームを伸ばしたまま移動した可能性も考えられますね。

移動するときにはクレーン部分は短くしないとバランスを崩すことは容易に想像できます。

どちらにしても今回は、安全対策である

「アウトリガーを確実に設置すること」

「移動時にはブームを短くする」をしなかったことが横転原因と考えられます。

【追記】

続報によると、「掘削用の機械を吊り下げたままクレーン移動」したために起こった横転だったようです。

警視庁によりますと、当時現場ではくいを打ち込む作業をしていたということで、クレーン車の運転手は「掘削用の機械をつり下げてクレーンごと移動しようとした際にバランスを崩した」と説明しているということです。

NHKニュース

物理的にどう考えてもバランスを崩すと分かりそうではありますが、

知識不足の作業員が運転していたのでしょうか。

私達の身近にも起こりうる事故なだけに、

運転の手順や安全対策の教育がどうなっていたか、または人員不足の観点など、原因の解明が待たれます。

▼同業者の方のコメントから事故の背景が見えてきました

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現場の動画やSNSの声

鳴りっぱなしのクラクションやワゴン車の押しつぶされ具合が、

事故の悲惨さを感じさせますね。

亡くなった方のご冥福を心からお祈りいたします。

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【画像】品川区クレーン車(掘削機)横転はなぜ?原因はアウトリガー?現場写真から理由を考察 あとがき

息子が「はたらく車」が好きだった時期があり、

一緒に出掛けて工事現場を見つけるとしばらく作業を眺め、

息子と一緒に絵本や図鑑で建設機械の名前や特徴に詳しくなったこともありました。

どの工事現場でも働く人の安全対策が当たり前にされているから安全なだけで、

本来ならとても危険な場所なのだなと改めて思い知りました。

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この記事を書いた人

今「ココにアル」身の回りの疑問・気になることを調べてまとめるサイト。
筆者が好きで興味のあることをはじめ、育児関連、ニュースや週刊誌で話題の事柄など、幅広い内容を掲載していく予定です。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • •クレーンや杭打機の転倒事故が繰り返されるのは、転倒モーメントだけではなく”構造不安定”が関係しているからです。構造不安定問題の典型である柱の座屈と同じように、軟弱地盤では極端な場合転倒モーメントがゼロでも転倒します。この知識がないとオペレーターがいくら転倒モーメントに気を付けていても転倒する可能性があります。私の知る限り、これらの転倒に構造不安定が関係していることを指摘した人はいません。転倒モーメントだけで議論していてはこの種の事故は無くなりません。構造不安定が転倒メカニズムの一つであることを理解するために、ぜひ下記の論文を読んでください。
    DOI: 10.14738/tecs.112.14452

    • 「構造不安定」が転倒メカニズムに大きく関係しているのですね。
      論文も後程拝見してみます。
      ご丁寧にありがとうございます。

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